大学のハラスメントを看過しない会 2025年度事業報告

(2025年4月~2026年3月)

  

1)動物倫理・ヴィーガニズムを通じた交差的な社会運動の実践

本年度は、性暴力やハラスメントの根底にある「支配」の構造を、動物に対する暴力や他の社会問題と繋げて考える「学びと実践」をより深化させ、国内外での調査と実地活動を活発に行いました。

  • 「ヴィーガン弁当配布」プロジェクト(大阪・釜ヶ崎): 社会的周縁に置かれた人々への支援と動物倫理を繋げる試みとして、4月から5月にかけて大阪・釜ヶ崎(西成)にてヴィーガン弁当の調理・配布を実施しました。活動の詳細はレポートとして公開しています。
  • 「動物倫理と部落差別」学習会・フィールドワーク: 差別の交差性を学ぶため、5月には奈良の水平社博物館への館内ツアーを含む勉強会を実施しました。
  • 国内外のヴィーガン食文化調査: ヴィーガニズムを豊かな文化として広めるため、以下の調査を行い発信しました。
    • 大阪・京都ヴィーガングルメレポ2025(4月〜5月)
    • 北米ヴィーガングルメ調査および「輸入してほしい食品ベスト15」発表(8月)
    • 「究極のヴィーガンラーメン」東京編の調査(11月)

2)啓発活動とコンテンツ制作

  • 「動物問題連続座談会」の開催と深化: 専門家を招き、生活や制度に密着したテーマで対話を継続しました。
    • 「エシカル・ファッションってなんだろう?」(7月):毛皮問題やリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(リプロ)とフェミニズムの繋がりを議論しました。
    • 「ざっくり深掘り! 動物愛護法入門」(10月):現在の法制度の課題と改善点についての連続座談会を実施しました。
  • 書籍の刊行と記念イベント
    • 2026年2月、本会の活動から生まれた書籍『あなたと考えたい動物たちと社会のこと』(深沢レナ・生田武志・栗田隆子編著、現代書館)が発売されました。ハラスメント、フェミニズム、動物倫理、差別問題の交差性を問い直した一冊です。
    • 4月には刊行を記念し、人の暮らしと動物の関係、社会運動について考えるトークイベントを開催しました。
  • 関連書籍 深沢レナ第三詩集『海を聴く』(港の人): 深沢個人の活動となりますが、性暴力被害の「その後」を生きるサバイバーの言葉を綴った詩集として、2026年3月に刊行されました。セクハラ被害後、長らく創作活動に戻ることができなかった深沢が、6年ぶりに出版した詩集となりました。イベント等を通じて紹介を継続しています。
  • 活動の総括:「看過しない会 振り返り会」の実施(2026年3月): 年度末、裁判や活動を論考の面で支えてきた川口好美氏を招き、X(旧Twitter)のスペースにて「振り返り会」を実施しました 。この会では、具体的な事案や名前を挙げながら、社会の構造がいかに被害者を疎外していくかについて踏み込んだ議論を行いました。また、その延長としての内容をウェブサイトにて「振り返りと問題提起」として公開しました。

3)会計報告(2025年12月31日時点)

本年度は、積極的な実地活動に伴う経費が増大した一方、寄付金収入が減少し、財政的には厳しい状況が続いています。

  • 収入の部
    • 寄付金収入:67,358円
    • 受取利息:536円
    • 収入合計:67,894円
  • 支出の部(販売管理費)
    • イベント出張費:154,090円(釜ヶ崎弁当配布、各地調査の交通・宿泊費等)
    • 謝礼金:95,188円(座談会登壇者、インタビュー費用等)
    • 通信費:32,124円(Zoom、サーバー、システム利用料等)
    • その他(外注費、新聞図書費、手数料):12,021円
    • 支出合計:293,423円
  • 収支差引
    • 当期純損益:-225,529円(欠損)
  • 立替金の精算状況: 12月8日に、代表の深沢が長期にわたって自己負担してきた諸費用のうち、300,000円を個人口座へ支払い、精算を行いました。現在も約33万円の未精算額(未払金)が残っており、その多くは代表個人による立て替え分です。

4)組織運営と今後の展望

  • CAPAプロジェクトについて: 2024年に発足した「大学ハラスメント対策検証プロジェクト(CAPA)」については、組織的な活動が停滞しており、現在は動いていません。
  • 代表個人企画「点を線にするために」について: 2026年春より、深沢レナと睡蓮みどり氏によるユニット〈もやのみ〉主催のプロジェクトとして、性暴力被害者の声を記録し可視化する活動が始動しています。これは本会ではなく、個人による企画として運営されています。
  • 団体名称の変更: 裁判終結と活動の広がりに伴い、2026年4月より、団体名を「Across Beings Collective」へと改称します。これまでのハラスメント追及を基盤に、社会正義の交差性を探求するコレクティブとして再出発いたします。

2025年度 コンテンツ・記事一覧(リンク付き)

1. 公式ウェブサイト掲載記事

2. note掲載記事(Across Beings Collective)

【2025年度後半〜2026年3月の記事・イベント一覧】

補足: noteの個別記事のリンクは、Across Beings Collectiveの公式note(https://note.com/dontoverlook_ha)にアクセスし、「記事」タブから最新のものを順に参照することでご確認いただけます。


2025年度は、現場での地道な調査と、書籍の刊行という大きな成果を得た一年でした。財政面では依然として代表個人の立て替えに頼る厳しい運営が続いていますが、一人の「被害者」の闘いから始まったこの活動を、社会のあらゆる「支配」を問い直す広がりを持った運動へと繋げていくため、名称も新たに歩みを進めてまいります。今後とも皆様の温かいご支援をお願い申し上げます。