2023年の2月、本会は、性暴力・ハラスメント被害者・告発した人に対する二次加害の深刻さ・被害者の孤立化について危機感を抱くようになり、Twitter上で、被害者の自助会・グループカウンセリングの必要性についてアンケートをとりました。その結果、「絶対必要。すぐ作って欲しい」という声が圧倒的多数(https://twitter.com/dontoverlookha1/status/1618809806940434432)だったため、被害者(またその近しい支援者)同士で情報交換ができるゆるやかなネットワークのようなものを作ろうと、「性暴力・ハラスメント被害者ネットワーク」を立ち上げました。

2月〜3月にかけて、過去に性被害やハラスメントを受けたことをSNSなどで公表している被害当事者のみなさんに声をかけ、半年にわたって全6回、Zoomでのミーティングを開催しました。ミーティングの目的は、孤立しがちな被害者同士が出会い、安全に語り合い、情報共有することのみで、現実的な目標(互いの具体的な支援や、大学・企業への働きかけ、立法化etc)は定めませんでした。

以下が、ミーティングの内容とグラウンドルールです。他の被害者・支援者の方々が自助会をする際など、ご自由に参考にしてください。
      

※ 現在は、このネットワークは休止しています。


      


      


【内容】

3月 顔合わせ

・参加条件、枠組み、運営メンバー、連絡ツールの決定

4月 

・グラウンドルールの説明、LINEオープンチャットの開設、班分けでのフリートーク、話したいテーマについて

5月

・日常的に恐怖を感じることについて、護身術について、支援者との関係についてetc.

6月

・ストレスを感じる状況、セルフケアの方法の共有、「中立」の立場の人の問題点etc.

7月

・みんなの近況報告、トランス女性差別について、漫画における同意のない性描写の問題、おすすめ恋愛漫画・映画

8月

・ネットワークの振り返り


      


      


      


      

【性暴力・ハラスメント被害者ネットワーク グラウンドルール】

作成日:2023/04/01


      

【前提】
参加条件
このネットワークには、性暴力・ハラスメント被害者+その支援者が参加できます。ただし、支援者が参加する場合は、被害者本人にその旨を伝え、合意を得られてからでお願いします。(被害者本人に内緒で被害を相談したりするのはやめましょう) 


新規メンバーの参加
新規メンバーを入れたいときは、ミーティングにて全員の合意をとりましょう。メンバーの数を増やすことではなく、今いるメンバーが傷つかないこと、今いるメンバーの安全の保証を優先しましょう。
(*ミーティングで合意をとり、そのあと期限を決めて、懸念点がある人は運営に連絡。期限までに特に何もなければ、承認されたこととみなします。)


参加方法
全国+日本以外の方も参加できるように、Zoomでの開催を原則とします。ミーティングの事前にメールにてZoomのリンクをお送りします。


グラウンドルールはネットワークを進めながら適宜調整していく
このグラウンドルールは、絶対ではありません。ネットワークを継続していく中で、変更が必要になったら、適宜修正を加えられるようなフレキシブルなものとします。


失敗に寛容になる
このネットワークの目的は、性暴力・ハラスメント被害者+その支援者が安全に語り、情報交換できる場所を作り、その輪を少しずつ広げていくことです。運営も初めての試みですし、みんな負担を抱えながらなので、失敗したり、トラブルが生じることもあると思います。でも、自分や互いの失敗を責めることなく、冷静な解決を目指して、粘り強く話し合い、より良い場をつくっていけるように一人一人心がけましょう。



【ミーティングのルール】


ミーティングで聞いた話は外部で話さない
秘密保持は絶対に守りましょう。


撮影・録音は禁止
ミーティングの撮影や録音は禁止とします。メモはOKとしますが、個人情報の管理には十分気をつけましょう。


基本的にはフリートーク
このネットワークのミーティングは、伝統的な自助グループの「言いっぱなし、聞きっぱなし」のように、仲間に対して一切の反応や対応の禁止、固有名詞を出す事の禁止などは設定しません。基本的には、誰もが話したいときに話したいことを話せるフリートークとします。
 ただ、もし自分の話に対して、全く反応がいらないと思われる時は(話す前や後、あるいはフリートークの途中でも、いつでもいいので)「聞きっぱなしでお願いします」などと言ってもらえれば、そのようにしますので、ご遠慮なく言って下さい。


飲食・トイレ・休憩自由
飲食は自由です(物音がする場合はミュートにしてください)。トイレ・休憩も自由に行ってください。


話す時間配分に配慮する
話す時間を一人で独占せず、分かち合いましょう。10分以上一人で話している方がいたら、運営が声をかけるので、次の方にバトンタッチしましょう。


人の話に割り込まない
人が話している間は聞くことに集中しましょう。


批判をしない
人の話に非難、中傷、説教などはしないようにしましょう。 良い、悪い、~すべきという批判も避けましょう。 人の話に反感を感じても聞き流してください。 自分のことを正直に話すためには、批判されないで聞いてもらうことが大切です。


求められていないアドバイスをしない
アドバイスは相手から「明確に求められた時にのみ」お願いします。 ここは「他のメンバーをなおしたり、導いたりする場」ではありません。
求められてアドバイスする時も「私の場合は~だった」「私はこう思った」など、自分を主語にした、“アイ・メッセージ“ でお願いします。


他の人の被害のディテイルを聞き出さない。
本人が話そうとしていないときに、被害のディテイルを聞き出そうとするのはやめましょう。その人の被害について知っていることがあったとしても、勝手に話すのではなく、本人が話し出すのを待ちましょう。


個人情報を聞き出そうとしない
その人のプライバシーに関わることを聞き出そうとするのはやめましょう。


相手方の名前をだすかどうかは本人次第
加害者や関係者の固有名を出すかどうかは本人次第です。無理に出す必要もありませんし、隠す必要もありません。ただし、ここで得た情報は、本人の許可があった場合を除き、外に漏らさないようにしましょう。


言いたくないことは言わない
話したくない、言いたい事がない場合は無理に話す必要はありません。 ミーティングへ参加したということは問題に向き合う意思の現れです。 参加するだけで何も話さなくても十分意味があります。 話したくない、話せない、それでもその場にいるということ、それ自体が意味のあるメッセージです。 その場で黙って人の話に耳を傾けるだけで、人の役に立つこともできます。 話す人にとっては聞いてくれてありがたいことだからです。


無理な状態での出席はしない
体調が悪いのを押してまでミーティングに参加する必要はありません。 アルコール等を摂取した場合なども参加を見合わせましょう。 体調が悪いまま参加すると、ここに書かれたルールを守れない可能性があります。体調に不安がある人は、ミーティングの最初にその旨をみんなに伝えましょう。
また、自宅や個室など、静かに安心して話せるような環境で話しましょう。屋外から参加することも可能ですが、その場合は、イアホンを利用、自分のオーディオはOFFにしていただき、チャットのみの参加でお願いします。


他のメンバーに積極的な支援は求めない
ミーティングの場で、相談したり情報を共有したりすることはOKですが、他のメンバーに対して積極的な支援やアクションは求めないようにしましょう。
また、他の方の被害を聞くと、聞いた側も、「(他の加害者についても)声をあげなくてはならない」とプレッシャーに感じてしまうことがあるかもしれません。でも、あなたもすでに被害者・支援者であることを忘れずに。背負いすぎてバーンアウトしないように気をつけましょう。


差別発言をしない(人種差別、性差別、年齢差別、障害者差別、種差別etc.)
性別、人種、民族、種族、障害、年齢、出自、宗教などに基づくあらゆる差別発言をしないように気をつけましょう。誰かが差別発言をしたら、気づいた人が極力その場で指摘しましょう。あまりにも差別発言が著しい場合や、注意されてもやめなかった場合、運営から退席を求めることがあります。


宗教などの勧誘はしない
どんな宗教を信仰するのかは個人の自由です。 人によっては宗教によって救われた経験があるかもしれません。 しかしミーティングに参加している人は、宗教によって救われようと思っているとは限りませんし、 宗教では解決しない問題が多いのも事実です。 人に宗教を勧めたり勧誘するのはやめましょう。



【ミーティング外】


ミーティング外でのメンバー交流
ミーティング以外でも、メンバー間で連絡をとることはOKとします。ただし、執拗にメールをしたり、繰り返し返事を催促するなど、相手の負担となるような行為はしないように気をつけましょう。
もし困ったことが起こったら、運営に相談しましょう。


ラインのオープンチャット(予定)
ラインのオープンチャットを利用し、ミーティング外でも情報交換・感想・質問などをやりとりできるような場を設ける予定です。
オープンチャットはライングループと異なり、匿名性があり、ニックネームで参加できます。また、グループの参加者に個別で連絡したり、友達として追加することもできません。通知がラインのように入ってこないため、見たくないときには見ないですみます。
TwitterなどのSNSをやっていないと、知りたい情報もなかなか入ってこない一方で、そういうSNSでは加害者側も情報を見れてしまうという問題もあります。SNSをやっていない人でも、孤立することなく、情報のやりとりができるよう、ぜひご活用ください。
(のちのち、自己紹介やグラウンドルールも、ラインのnoteに保存する予定です)


※ このグラウンドルールは、以下の記事をもとに深沢が作成しました。


・自助グループポータル
https://self-help-group.sakura.ne.jp/self_help_group_rules
・AC自助会「いやし・は〜と」
https://note.com/cute_music/n/nfdd33b31f89c
・依存症等の当事者によるオンライン自助会運営ガイド
https://swallowpocket.net/327/