【3周年を迎えて】
先月11月9日に、看過しない会は3周年を迎えました。
思えば、設立のときから困難の多い団体でした。HP公開直前に、一緒に設立する予定だった人から団体設立を引き止められたり、関係者から関連裁判が終わるまで延期するよう説得されたりしました。
なぜ、おかしいことをおかしいというために、被害者が発言することを我慢しなくてはならなかったのか理解できなかったわたしは、反対を押し切り、数年ぶりに書いた文章であるエッセイ「ゆるやかな悪に流されないように」を公開しました。当時は実質一人での運営でした。
それから3年の間、いろいろな人たちと出会い、助けられてきました。すれ違うこと、傷つけられること、わたしが傷つけてしまうことも多々ありました。さまざまな本を読んで学び、人と話し、知識をつけ、強くなったかと思えば、書面も開けられないほど弱ってしまってもいて、前に進んでいるのかわからなくなることもあります。
告発や裁判の過程は途方もなく長く、先が見えず、苦しいものですが、わたしは看過しない会という場があったことで、他の被害者や、数少ない支援者と繋がり、少しずつ自分の言葉を取り戻していくことができました。この場がなければ、とてもではないけれど、数々の困難を乗り切れなかっただろうと思います。
もうすぐ裁判は終わりを迎えますが、「被害者」の人生は判決で終わりではありません。事件によって壊された道は、まだぐちゃぐちゃのまま。あちこちに破片は散らばっているし、歩こうとしても欠片を踏みつけて血が出ます。走ろうとしても足は弱っていてすぐ転んでしまいます。
それでも、同じ道で怪我した人に薬を渡したり、包帯を巻いてあげたり、巻いてもらったり。通りがかりの人に声をかけて一緒に瓦礫拾いをしたり。もっと歩きやすい道に整えられないかとみんなで知恵を出し合ったり。あるいは交差する道から来た人と出会って新しい道に進んだり。
看過しない会は、そういったことを渾然と、同時に、実践していける場であり続けようと思います。
2023/12/17
深沢レナ